国内3,205サイトのLLMO実態調査|AI検索対応の平均は54.4点

2026年7月、国内3,205サイトのLLMO(AI検索最適化)対応状況を実測した。100点満点の平均は54.4点、中央値は54点。85点以上のA評価は0件、70点以上のB評価も226件(7.1%)にとどまった。5カテゴリのうち最も弱いのは「引用されやすさ」で達成率21.5%、694サイト(21.7%)が0点である。一方でAIクローラーの受け入れは達成率76.9%と比較的整っている。つまり多くのサイトは、AIに読ませる入口は開いているが、引用される中身が用意できていない状態にある。
調査結果の全体像はどうなっているか?
3,205サイトの総合スコアは平均54.4点、中央値54点だった。最高点は84点で、85点以上のA評価は1件もなかった。
評価の分布は次のとおりである。
A(85点以上): 0件(0.0%) B(70点以上): 226件(7.1%) C(50点以上): 2,020件(63.0%) D(30点以上): 883件(27.6%) E(30点未満): 76件(2.4%)
中位半分(第1四分位〜第3四分位)は48〜62点の範囲に収まり、上位10%の境界は68点だった。注目したいのは、対策済みと未着手が二極化しているのではなく、大半がC帯に密集している点である。多くのサイトは、AI検索を意識した対策を行った結果として50点台にいるのではなく、通常のWeb制作の副産物として50点台に到達していると考えられる。
裏を返せば、70点を取れば上位7%圏に入る。現時点では、他社と差をつけるために必要なコストが低い状態にあると言える。
5カテゴリのうち、最も弱いのはどの項目か?
診断は5カテゴリ・約20項目で構成される。カテゴリ別の平均達成率は次のとおりで、弱点ははっきりしている。
AIクローラーアクセス: 15.4/20点(76.9%) コンテンツ構造: 16.3/25点(65.1%) 構造化データ・メタ情報: 8.0/15点(53.4%) E-E-A-T(信頼性): 10.4/20点(52.2%) 引用されやすさ: 4.3/20点(21.5%)
「引用されやすさ」だけが突出して低い。20点満点に対して平均4.3点、中央値4点で、694サイト(21.7%)は0点だった。5サイトに1サイト以上が、この観点で加点要素をひとつも持っていないことになる。
このカテゴリが見ているのは、結論を先に書く構成、根拠となる数値や統計、用語の定義文、FAQセクションの有無といった点である。いずれも生成AIが回答を組み立てる際に、そのまま引用しやすい形になっているかを問うものだ。デザインやCMSの選定とは関係なく、文章の書き方の問題であるため、逆に言えば追加投資なしで改善しやすい領域でもある。
対照的に、AIクローラーアクセスが76.9%と高いのは、robots.txtでAIボットを明示的にブロックしているサイトが多数派ではないことを示している。ただしこれは「積極的に許可した」というより「特に何もしていないため通っている」ケースが大半だと考えられる。
llms.txtはどれくらい普及しているのか?
llms.txtを設置していたのは3,205サイト中217サイト、6.8%だった。従来から普及しているファイルと比べると差は大きい。
robots.txt: 2,292サイト(71.5%) sitemap.xml: 2,308サイト(72.0%) llms.txt: 217サイト(6.8%)
スコアとの関係も見ておきたい。llms.txtがあるサイトの平均は65.0点、ないサイトは53.6点で、11.4点の差があった。sitemap.xmlの有無でも56.9点対48.0点と8.9点の差が出ている。
ただしこれは因果関係ではない。llms.txtを置くこと自体が11点分の価値を持つのではなく、llms.txtの存在を知って設置するような運営体制のサイトは、結論ファーストの文章や構造化データといった他の項目にも手が回っている、という相関と解釈するのが妥当である。llms.txtは対策の成果というより、対策に取り組んでいるかどうかの指標として読むほうが実態に近い。
業種によって差はあるのか?
20サイト以上を計測できた業種で比較すると、上位と下位は次のようになった。
上位: SaaS・業務システム 58.8点(25サイト) ホテル・旅館 56.9点(200サイト) 半導体・電子部品 56.4点(35サイト) ブライダル 56.3点(916サイト) SIer・システム開発 55.8点(34サイト)
下位: スーパー・GMS 50.8点(376サイト) 自動車部品 51.6点(47サイト) 化学 51.8点(91サイト) ゲーム 51.9点(43サイト) 食品メーカー 52.6点(87サイト)
13の大分類(セクター)で見ると、最高は教育・人材の56.8点、最低は消費財・小売の51.5点で、その差は5.3点だった。業種別の最上位と最下位を比べても8点程度の開きしかない。
これは、業種による差よりも同一業種内の個社差のほうがはるかに大きいことを意味する。実際、平均56.3点のブライダル業界(916サイト)の内訳を見ると、B評価が101件ある一方でD・E評価も214件あり、同じ業界の中に上下両端が同居している。「うちの業界はまだ早い」という判断が成り立ちにくい状況である。
llms.txt設置率でも差が出ており、IT・通信(10.6%)とサービス・生活(10.2%)が高く、運輸・物流(1.4%)、製造・素材(2.8%)が低かった。
地域による差はあるのか?
事業者の所在地でまとめると、平均スコアは次のとおりだった。
関東 55.9点(730サイト) 九州・沖縄 55.9点(265サイト) 中部 55.5点(428サイト) 近畿 54.8点(341サイト) 北海道 54.5点(98サイト) 四国 54.4点(91サイト) 中国 54.0点(156サイト) 東北 53.4点(176サイト)
最大でも2.5点差で、地域による有意な差はほとんど見られなかった。九州・沖縄が関東と同水準である点も含め、LLMO対応の進み具合は所在地と関係が薄いと考えられる。
Web制作の外注先や情報環境に地域差があったとしても、それがAI検索対応の水準にまでは反映されていない。現時点では、どの地域の事業者にとっても横並びのスタートラインだと言える。
この調査はどのように行ったのか?
調査期間は2026年7月28日から7月31日である。
対象は、Google Places APIおよびWikidataから収集した国内事業者のうち、公式サイトのURLが確認できた3,205件。13セクター・約100業種に分類している。各サイトについてトップページ1ページと、robots.txt・llms.txt・sitemap.xmlを取得し、5カテゴリ・約20項目を機械的に判定して100点満点で採点した。クロールはrobots.txtの指示を尊重し、User-Agentを明示したうえで実施している。
結果を読むうえでの留意点は4つある。
第一に、評価対象はトップページのみである。下層に充実した記事があるサイトは実力より低く出る可能性がある。第二に、業種ごとの件数が均一ではない。ブライダル916件、スーパー・GMS376件のように件数の多い業種が全体平均を強く引っ張っている。第三に、判定は機械的なルールによるもので、内容の正確さや専門性そのものは評価していない。第四に、スコアが高いことと実際にAIに引用されることは別の問題である。本調査が測っているのは、引用されるための前提条件がどれだけ整っているかであり、引用の実績ではない。
この結果を踏まえて、何から着手すべきか?
全体の傾向から導ける優先順位は明確である。
第一に「引用されやすさ」。達成率21.5%と突出して低く、かつ改善に技術的な作業をほとんど必要としない。各ページの冒頭で問いに一文で答える、根拠となる数値を出典付きで書く、専門用語には定義を添える、想定質問をFAQとしてまとめる、という4点で大半が加点される。
第二にE-E-A-T(達成率52.2%)。著者名・運営者情報・公開日と更新日・外部の出典リンクを明記する。これも既存ページへの追記で対応できる。
第三に構造化データ(達成率53.4%)。JSON-LDでOrganizationやFAQPageを記述する。実装作業は発生するが、一度整えれば以降の運用負荷は小さい。
llms.txtの設置は、上の3つが一定水準に達してから取り組むのでよい。設置率6.8%という数字は先行者利益があるように見えるが、参照先のコンテンツが整っていない状態でファイルだけ置いても効果は限定的である。
平均54.4点、70点以上が7.1%という分布は、AI検索対応がまだ競争になっていないことを示している。この状態が続くとは考えにくいため、着手時期の判断が結果を分ける可能性が高い。
よくある質問
Q. 調査対象の3,205サイトはどのように選んだのですか?
Google Places APIとWikidataから国内事業者を収集し、公式サイトのURLが確認できたものを対象にしました。13セクター・約100業種に分類していますが、業種ごとの件数は均一ではありません。ブライダル916件、スーパー・GMS376件など収集しやすい業種の比率が高く、日本の全企業を母集団とする無作為抽出ではない点にご留意ください。
Q. 平均54.4点は高いのでしょうか、低いのでしょうか?
評価基準では50点以上がC評価にあたるため、平均は辛うじてC帯の中位です。ただし85点以上のA評価が3,205件中0件であることを踏まえると、全体としては対策が本格化する前の段階と見るのが妥当です。70点を超えれば上位7.1%に入ります。
Q. llms.txtは設置したほうがよいですか?
設置したサイトの平均は65.0点、未設置は53.6点で11.4点の差がありましたが、これは相関であって因果ではありません。llms.txtを置く運営体制のサイトは他の項目も整っている、という関係と考えられます。まず結論ファーストの記述やE-E-A-Tの明記を優先し、参照先のコンテンツが整ってから設置するほうが効果的です。
Q. 業種別のスコア差はどこまで参考にできますか?
業種間の差は最大でも8点程度で、同一業種内の個社差のほうがはるかに大きい結果でした。平均56.3点のブライダル業界でも、B評価101件に対しD・E評価が214件あります。業種平均を自社の現状の代わりにするのではなく、自社サイトを個別に計測することをおすすめします。
Q. スコアが高ければAIに引用されるのですか?
本調査が測っているのは、引用されるための前提条件がどれだけ整っているかであり、実際の引用実績ではありません。スコアは必要条件の充足度を示すもので、引用を保証するものではない点にご注意ください。実際に引用されているかどうかは、AI引用チェッカーのように回答内の言及・引用を継続的に観測する方法で確認します。
Q. 自社サイトのスコアはどうすれば分かりますか?
AIOプレスのLLMO診断(LLMO診断)にURLを入力すると、本調査と同じ5カテゴリ・約20項目で採点し、改善提案を返します。診断は無料で利用でき、本記事の平均54.4点や上位10%の境界68点と比較することで、自社の相対的な位置を把握できます。